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蝉が股をくぐっていったんです。

夏の匂いが少しずつ薄くなってきた。四季があるのはありがたいことだと思う。毎日のように同じ道を歩いていても景色が少しずつ変わっていくので飽きない。でも一番ありがたいと思うことは季節というのは繰り返しでやってくる、ということだと思う。
何度目かの春でなぜみんな桜を愛でてしまうのか少しわかったような気がした。
何度目かの夏でわざと群がってみんなで遊ぶことを面白いと感じた。
何度目かの秋で空気が乾くことの心地よさを知った。
何度目かの冬で自分と話すことの楽しさを教えてもらった。
繰り返してくれなかったらどんくさい自分は何も得ることもできないまま過ぎ去っていく時間をボーっと眺めてたに違いない。
大人になると日々が早く感じるのはいろんなことが当然になって無反応になるからだそうだ。
でも大人になっても時間をだらーっとさせるやり方を覚えてしまった。
この季節を黙って見ていることだ。何も考えず目に入るその景色を受け止める時間を少しだけ作っておく。
この5分は一週間くらい長く価値があるように思う。どうなんでしょうね。

ちなみに夏は虫が多いので苦手です。

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