飲めど春
今年の花見を思い出していた。
酔いに酔い、何を話していたのか覚えてもいない。
風に沿って花びらが飛び交っている中でガヤガヤを楽しんでいた。
この景色を少し前の自分はフェンスの向こうから伺っていた。誘う相手もなければ誘われることもない人間だった。一人で苦いビールをせっせと飲んでいた。あれは苦かった。
特別何か変わったつもりはないけれど今ははっきりと「まわり」というものが自分にあると自覚している。きっと前からあったんだろうに気づいていなかったんだろう。花見をしているやつを馬鹿にしていた。
つまり俺はめでたく馬鹿になれたんだ。