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ポケットのような

新しい曲を作っている。
あれがしたかったとかこれがしたかったとか思いをはせながら作っていたものを形にするタイミングを失っていた。今作りこんでいる曲はそのころに土台を書いたものだ。
ゆえに書き始めのころの気持ちだとかはあまり覚えていない。アイデアがないままと言ってもいい。こういうものは根拠がなくなる作品になるので、これはお蔵入りですかなぁと一人で決めそうになっていた。いや、ちょっと待てよ。これはチャンスかもしれない。いっそいい意味でみんなに丸投げしてしまおう。みんながこの変哲のない土台を受け取って最初に描いたものを作ってみよう。
ということで今回は特に共同制作感が強い。決して自分ひとりでは想像できなかった世界観がパラパラとつみあがっている。

曲はいつでも自分にとって入れ物だ。
以前は入れ物は自分であって音が自分に染み込んでいくものだとばかり思っていた。もちろんそういう面もあるけども、それが逆であることもある。
作るときも、聞くときも、気持ちを入れておく入れ物だ。フィルムケースほど小さく、地球より大きいかもしれない入れ物に今メンバーがひとつひとつ音を入れていく。
そうしてできた曲はなお聞き手にとって入れ物になり、聞いてる人の気分に合わせて色を変えながら耳に届ける。そういう受け手側の存在になった。

僕らが曲を選ぶのではなく曲が僕らをなぞってくれるんだなと感じる時が一番楽しい。

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